トークイベント『宮崎駿の<世界> 増補決定版』(ちくま文庫)刊行記念トーク「アニメ昼話 ポニョとハヤオを語りたおす!」

尊敬する切通理作さんのトークイベント、ということで新宿loft plus oneへ参りました。『シナリオは破綻しているのに、なぜ、観てしまうのか?』そんな問題提起で始まった、このイベントでした。
http://d.hatena.ne.jp/PaPeRo/20081104

  『宮崎駿の<世界> 増補決定版』(ちくま文庫)刊行記念

  「アニメ昼話 ポニョとハヤオを語りたおす!」

     宮崎駿は<神>なのか? あるいは破綻した作り手か? 
     全作品に隠されたものをさぐる。

【出演】切通理作(著者)
    竹熊健太郎サルでも描けるまんが教室
    氷川竜介 (BSアニメ夜話・アニメマエストロ)

   11月3日(月・祝)

OPEN 12:00 / START 13:00  前売¥1000/当日¥1500(共に飲食代別)

   会場 ロフトプラスワン (新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 03-3205-6864) http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/

宮崎アニメは、ただ、ぽやーんと観ていただけなので、ははー、こういう視点もあったのか、と、笑ったり、驚いたり。

そうだよねぇ、ポニョ、金魚なのに、何で海にいるの?とか、あれ、みんなが金魚だって言うから金魚にしたのに、どうして、「人面魚」なの?とか、なんで水道水の中で生きてるの?とか、リサは、何であんなに暴走してるの?フジモリ、世界制覇しようとしてたんじゃなかったっけ?などなど。ストーリーとしたら、完全に破綻しています。
でも、だからこそ、私自身が人との関係について、思い通りにならなさと、被害者気分を目一杯抱えながら、このアニメを観た後に、「ああ、これでいいのだ」と、一切合財引き受ける気になったことも、納得できるような気がするのです。
世界を切る視点として、理と情があったとして、そのどちらもが正否を問われるような事柄でなく、バランスの問題だと考える。おそらくは、思考を共有する手段として理を私たちは正しい、と、してきたわけなのだけれど、それは便宜上の問題に過ぎなかったんじゃないか。論理的には破綻している、このストーリーが、情を持って語りかけた時、子供から大人まで、理とは違う回路で、全体を把握することができる。「ポニョ、そうすけ、好きぃ〜」て。だって、好きなんだから、しょうがないじゃないか。
で、私自身は、その抱えていた問題のみならず、そうして、なんだかよくわからない、この混沌とした世界を、人一倍神経質になっていた時期だからこそ、この映画を観た後に、まぁ、しょうがないか、って引き受けることにしたんだと思う。
だから、人は、そうそう変わらない、とも言えるし、やっぱり、昨日と今日の私は違う、とも言えると思う。ただ、自分で動かなければ、何も始まらない。「ポニョ、そーすけのとこ、行くぅ〜」なんだな。
まぁ、そんな自分の問題と重ね合わせながら聞いておりましたけれど。
男女比率9:1ぐらいの、みょーなトークショーでありました。あ、そーか、宮崎アニメって、こーゆー客層なんだと、初めて知った日でもありました。
3時間半にわたる、結論のでないトークショー、でございました。おしりが少々痛かったのでありますが、大変、面白く、しばらく、楽しめそうないろいろなネタを拾ってきました。
もちょっと、ハヤオを掘り下げてみようかな、て思いました。

宮崎駿の「世界」 (ちくま文庫)

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宮崎駿の“世界” (ちくま新書)

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