文楽『奥州安達原』

奥州六郡を治めた安倍頼時源頼義•義家親子に滅ぼされ、その子貞任は戦死、宗任が降伏した「前九年の役」の後日談。善治烏伝説、黒塚伝説を取り入れ、途中、陰惨で悲しい話がふんだんに語られているにも関わらず、最後は、なんだか、よくわからないけど、あっぱれあっぱれ、大団円で終わりました。
安達原の鬼、というので、鬼っぽい鬼を期待していったのですが、婆は、最後まで人間でした。
私は、あんまり詳しくはないのですが、文楽や歌舞伎って、人が思うほど高尚なものではないです。全く荒唐無稽で、まともに筋書きを読もうとしても、頭が混乱するだけですね。当時、話題になった事件を下敷きにしたりしていて、かなり大幅にきゃくしょくしていて、つまりは、庶民の芸能なんでしょね。
4時に開演し、9時までの長ーい舞台でした。
文楽の面白さの一つは、舞台の多層性だと思うのです。
文楽の主役は浄瑠璃です。つまり、舞台袖で語られる語りです。その次に人形。面白いのは、浄瑠璃を語る大夫も、人形を操る人形遣も顔を出して、舞台上にいて、にも、関わらず、人は語られる浄瑠璃を耳で追いかけながら、目で、人形の動きを追い、物語を、そこに見るんだろうと。
1体の人形は3人の人形遣で操ります。人形は、あたかも、舞台上を歩いたり、走ったり、飛んだりしているように見えますが、人形の足下には床はないんですね。
満員御礼でした。あぜくら会でも、能楽文楽もチケット取るのが大変です。