文楽『心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん)』『狐と笛吹き』

私にとっての母の日イベント。家族で文楽
友人達と築地で食べ歩いた後、国立劇場へ。
4時からの第二部。しかし、母は別途第一部も友人とのつきあい(本人曰く)で観るらしい。第一部は鎌倉三代記と大江山。

私自身は久しぶりの文楽
『心中宵庚申』近松の心中もの。
まず竹本住大夫さんの義大夫節。ウキウキします。
いいお顔でもあります。

4月5日の庚申の晩に八百屋半平衛が舅の虐待に耐えかねて妻のお千代と情死したという事件を題材にした作品。
3度目の結婚で身重のお千代さんは嫁入り先の姑さんから離婚を言い渡され、無理矢理帰されてしまいます。旦那の半兵衛さんは浜松の武士の子で、八百屋の養子です。養母は血のつながらない半平衛さんが後をとることがそもそも気に入らないのです。
養父と養母の面子を立てなければならず、しかし、自分たちは別れる事が出来ないので心中してしまう、というお話です。

吉田簑助さんの人形のあつかいは素晴らしく、ホントにお人形が色っぽく可愛らしく。心中する場面なんて涙。

『狐と笛吹き』
劇作家北條秀司さんという方の十三回忌とのことで、その方の作品。
なんっかね、「愛は奪い合うものではありません」とか、「お前の身体がほしい」だとかいう台詞があって、ぎょっぎょっぎょっ。

「愛」などという概念はこの時代にないはずでが、意図的なものなのかしら?と思いながら。

玉女さんの人形のあつかいや、鶴澤清治さんの素晴らしい三味線で、物語についてはそんな違和感を覚えながらも、色んな意味で楽しみました。