ライブ『チャボロ・シュミット・バンド』と映画『僕のスウィング』

ある日、知人より電話があって曰く、仕事で滅入っているので、チケット代はいいから、明日のチャボロ・シュミットのライブに一緒に行ってほしい…と。勿論、断る理由もないので、一緒にお出かけする事にする。
当日、当日券がチケぴに4枚しか残っていないとの情報を得て、「えっと、チャボと清志郎じゃなくって…」と、受けを狙った訳でもなんでもなく、本当にわかんなくなったりしながら、チケぴがあった筈の場所2カ所で空振りし、やっとファミマでチケット入手。
午後、いそいそとお出かけ。場所は杉並公会堂。リニューアルしたばかりの素晴らしいホール。
チャボロ・シュミットさんはマヌーシュ・スウィングのギタリスト。マヌーシュというのは(フランス北部〜ベルギーにまたがる地域で生活しているジプシー)系のことをいうらしい。
bounceの記事によれば

そもそもマヌーシュ(フランス北部〜ベルギーにまたがる地域で生活しているロマ/ジプシー)系プレイヤーによってはじめられたマヌーシュ・スウィング(ジプシー・スウィングとも呼ばれる)。映画「ギター弾きの恋」「僕のスウィング」のヒットもあり、ノスタルジックにしてフレッシュな魅力も持つそのサウンドがいま新たに人気を集めている。

 器用な手先を持つ〈ジプシー〉と呼ばれるヨーロッパの不定住民族たち。彼らが生業のひとつとしたのが大道音楽、ストリート・ミュージックだ。1930年代フランス――そんな土着的なジプシー音楽にアメリカ生まれのジャズを採り入れ、より洗練を究めた新しい音楽を作り出した男がいた。彼こそがジャンゴ・ラインハルト。マヌーシュ・スウィングの開祖たる伝説的ギタリストだ。ザクザクと刻まれるリズム・ギター、瑞々しいヴァイオリン、そして乾いた音色で哀愁と情熱を帯びたメロディーを紡ぎ出すギター……。その音楽は時代を超えて聴くものを魅了してきた。

当日、配られたパンフレットによれば、

ジャズはアメリカに生まれ、多様性が醸成されたが、唯一の例外がフランス・ホットクラブ五十奏団でジャンゴ・ラインハルト(1910-1953/以下ジャンゴ)とステファン・グラッペリ(1908-1997/以下グラッペリ)が生み出したマヌーシュ・ジャズ、
或はマヌーシュ・スウィングと命名されたこのジャンル。ロマ民族の西方への旅路で、様々な土地の音楽との掛け合わせ・展開を経て、フランス北東部+ベルギー国境周辺で1930年代に誕生。
本場アメリカのジャズシーンにも大きな影響を与えている。基本的なスタイルが弦楽器のみのシンプルな編成であり、アコースティックな響きを身上とする。

どういったジャンルかは全く知らずに、実は、グラッペリが亡くなった年にCDを知人からいただいて以来、お気に入り。
何事も巡り会うもんなんだなぁ。

メンバーは、チャボロ・シュミット Tchavolo Schmitt/ SOLO GUITAR
コステル・ニテスク Costel Nitescu/ VIOLIN
クロディス・デュポン Claudius Dupont/ DOUBLE BASS
サニー・ドーサ Sany Daussat/ RYTHMIC GUITAR
(プランクトン公式サイト http://www.plankton.co.jp/tchavolo/index.html

初めて見て聞いたチャボロ、なのですが、流石。多分CDの何倍も楽しいです。
音楽が好き、大事、人を楽しませる事、自分も楽しむ事、場を盛り上げる事をよく知っています。
ロマ気質で、どこでも演奏始めちゃうらしく、出会えた人はラッキーですね。
途中でギターの弦が切れましたが、私の知っているロックのライブだと、ここでささっとローディーさん達が走ってきてギターを替えます。が、どうもギターは一本らしく、その後退場…。
ゲストは渡辺香津美クリヤ・マコト

ゲストは、メインをたてていたのだろうと思うけれど、もっと思いっきりはじけてみんなで演奏楽しむ方法もあったんじゃないかしらん。この人たちにとって、音楽とはみんなに楽しんでもらう、みんなで楽しむもの、なんじゃなかろうか。もっとはじけてたら、もっと何か面白いものも出来上がったんじゃないかしら、とおせっかいな素人考え。
ほんとにね、多分、「音楽」などという上段に構えたものをやっているんじゃなくて、メンバー、みんな緩ーい感じで、お話ししながら演奏したり、チャボロさん、その次に弦が切れた時には、ステージ上で弦のはりかえ、チューニング。
この人たちにとって、演奏することは、空気を吸ったり水を飲んだりするのと同じくらい、当たり前な行為なんだろうと思った。
だからこそ、こだわりもあるだろうし。
私は当日券だったので2階の一番後だったのだけれど、同行者は1階席で、やっぱり、ステージに出てきた途端、会場の空気が変わったぐらい、かっこよかったらしい。
終わって、強烈な会場の拍手の中、アンコール2回。
そして、ホントに終わってしまった後、会場でCD購入した人に限り、サイン会。CDなんて買うつもり、全くなかったのに、同行者と一緒に並んでいるうち、どうしても欲しくなり入手。今回の来日記念のCDを購入して、サインしてもらう。

セブン・ジプシー・ナイツ

セブン・ジプシー・ナイツ


メンバーのクロディス・デュポンさんが"Bon soir!!"と声かけてくれたので、調子にのってこっちも"Bon soir!!"ついでに"Merci!"と。相手、"Merci beaucoup!!"とにっこり。しっかり握手ぅ〜。
大学での第二外国語2年間が、ここで報われました(泣)こんなところで役に立つなんて夢にも思わなんだ…。ついでに仏語始めちゃおうかな〜。などなど。

帰りにデニーズで食事しながら、何度も同じ事を二人で語り、で、挙句、帰りにTSUTAYAにて、映画『僕のスウィング』を借りて帰りました。
この映画、ストーリーそのものは、夏期休暇をおばあちゃんの家で過ごす男の子が、ギターをきっかに、ロマの女の子に恋をして、それまでの自分の生活とは全く違うロマの生活スタイルを知り、そして休暇が終わると共に恋も終わり、別れを知る、という話。過ぎ行く少年時代と、男の子の視点を通しての、ロマの生活が並行して描かれていて、でも、どっちかというとロマの生活の方が重点的に描かれているように思います。とても評判のよかった映画のようです。
後半のロマ達がフランス人女性に「女性による平和運動コンサート」のために音楽指導するのだけれど、この辺りのニュアンスをどう受け取るべきなのかな?ちょっと迷うところ。
派手ではありませんが、も一度観たくなる映画です。ついでに仏語も習いたくなります。
僕のスウィング [DVD]

僕のスウィング [DVD]

追記:この日のライブの書かれた「またたびCINEMA」という素敵なブログを発見しました。