映画『4分間のピアニスト』

ドイツ映画。

予告編を観た時に、舞台が刑務所で、ドイツの暗い色合いで、の音楽はかっこよいけれど、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のように怖い映画だったら嫌だと思って躊躇っていたのですが、師匠の一押しで観に行きました。
フルトヴェングラーの一番弟子だったという設定のピアノ教師クリューガーと、直接的には男の罪をかばって受刑しているジェニーの二人が音楽と自分を取り戻して行くストーリーです。戦争、ナチ、同性愛、近親相姦、刑務所、リンチ、と、これでもかとスキャンダラスな状況が描かれます。
救いようのない人生を送ってきた二人に残されているのが音楽です。
最後にはジェニーの将来に明るい未来への可能性が見られるところが嬉しいところ。
予想に反して、絶望的な映画じゃなかったんですよ。よかった、よかった。
そして、映画中につかわれている音楽が素晴らしい。

昨日、『うた魂!』のことを語っている時に、誰かが、あの登場人物たちは歌もうまいし可愛いし、エリートなんだよね、選ばれた人なんだよね、ていうことを言っていて、なんとなく判然とせず、ボヤーンと考えていたのだけれど。うーん、それって別に当たり前のことなんじゃないかなぁ、と思っていて、つまり、自分で「これがやりたい!」て考えて、それを選んだ時に、既にそれは自分で自分を選んだ、つまり選ばれた人なんじゃないかなぁ、と。他の人とは、その時点で違う意識の持ち方をするわけだから、違って当たり前なんじゃないかなぁ、と思ってしまったのだけれど…。
この4分間のピアニストなんて、もっとすごくて、他の受講希望者そっちのけで、一人の天才ピアニスト・ジェニーだけのために、教師クリューガーはピアノを教えるわけで、私がその他希望者だったら、「なんだよ、っちぇっ」と呟いていることは間違いない。