映画『ペルセポリス』

激動のイランに育ったマルジャン・サトラピ監督の自伝的グラフィックノベルの映画化。フランス。フランス語。
ペルセポリスとはギリシャ語のペルシャの都市の意味。結局、マルジは国には帰れない。国に帰れない人たちが世界には沢山いる。

映画の周辺の事には詳しくないのだけれど。珍しく入手したパンフレットの裏表紙、各映画評の中でヴァラエティという雑誌の評に、うんうんと頷く。

この映画の特性は、普遍性にある。
ボルチモアでも北京でも家族を持ち、政府があり
またはただ個人の幸せのために大きな志を持つ人ならば
誰でも身近に感じることができるのだ。

上品なおばあちゃんがマルジを連れて映画館でゴジラを観る。おばあちゃんはゴジラが人を踏みつぶしたり、噛み付いたりするシーンでマルジの眼を覆う。映画館から出てきて言うには
「全く奇妙な映画だわね、日本人は腹を切っているか怪獣つくっているかどっちかなんだから…。」
人は表層を取り上げて文化の全容を見たような気になってしまうものでした…。

この映画は手描きトレースでつくられているのだそうです。つまり伝統的な方法で、人が描くってことですよね、これって。
白黒のアニメーションで、だからこそ普遍性を持ち得るという評判を得ていて。確かにこれがカラーだったら、これが実写だったら、ifはないかもしれないけれど、こういう馴染みやすさはないかもしれない。なるほど。白黒の意味とは、やはりそこですか。
私が写真で白黒からカラーに替えた時の理由は、でも、世界には色がついていて、夜見る夢だってカラーだだから、ということでした。そうすると、デジタル時代にわざわざ白黒で写真を撮っていることの意味もなんとなく頷けますよね。私自身はカラーですが。

因に全米公開向けの英語版のアヌーシュおじさんはイギー・ポップがやっているそうです。英語版もみたいな。