映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』

私としたことが、カーワイの映画を身損ねるとこでした…。
金曜日まで。
水曜日でレディスデーということで渋谷の映画館へ。
一言愚痴るなら、渋谷のシネ東シネタワーのレディスデーなんて行くもんじゃないっすね。観客、行儀ワル過ぎ。猫みたいに鈴つけてるに違いない人とか、お菓子を箱ごと食べているだろうと思われる人とか…。
でも、カーワイのスウィートなロードムービー風おとぎ話ハート達(複数ハート)で、そんな騒音はなんのその。

英語版『恋する惑星』『天使の涙』といった風情の作品。
帰ってきてから見た公式サイトの監督の言葉によれば、
監督は、『恋する惑星』「ブエノスアイレス』『天使の涙』といった過去の現代劇と同じ路線で、最低限の準備で短期間に撮影可能な、形式張らない低予算映画を作ろうと決めた。
とのこと。

香港でのホットドッグスタンドの代わりに、ジュード・ロウの経営するダイナー。
待つ人を置いたまま、傷ついた気持ちを抱えて猫のように外の世界を彷徨い、特定できないどこかから定期的に手紙を送るエリザベス(ノラ・ジョーンズ)。
最後に帰るべき場所へと戻って来る彼女達。
お姫様は王子様のキスで目が覚める。

今回の撮影はドイルじゃなくタリウス・コンジという人で、『デリカ・テッセン』撮った人です。
それを読んで納得してしまいました。いつもとは、また違った風合いです。柔らかくて、ちょっと渋めの画像です。画面の隅々まで写っているものがよく見えます。

そしてライ・クーダーの音楽。
いつもの通り、音楽は素晴らしく、また、サントラ買ってしまいそう。

久しぶりに、私の大好きなカーワイの映画観た!て感じがしました。好きな人にはたまらない筈。
ストーリー。人のどうしようもなさ、他人にはわからない一人一人の抱えているどうしようもなさ、距離や時間をものともしない人と人との繋がり、理屈ではないところ、それも、私やあなたの、ごく当たり前の生活の中で起きる出来事の不思議。
そーんな、恋愛もの大嫌いな友人から見たら、『っけっ!』と一言ですまされそうな、私から見たら素敵なものばかりで構成されている映画でした。

しかし、
客電点いてから、
帰り際に若い女子が「よくわかんなかった…」と呟いているのを聞いて、
はたと
そうだなー、カーワイの映画の中では、ストーリーがあって、
恋愛というみんなの共有できるテーマがあって、
とてもわかりやすいのだけれど、
初めて観たらわからないのかもしれないですわね。

私にとっては、愛すべき映画が、一本増えたかなっていう感じ。